いま日本は空前の猫ブーム。猫の飼育数がいよいよ犬を上回るのではないかと言われているほどで、人気猫の写真集やグッズの売り上げなど、猫の経済効果、いわゆる「ネコノミクス」はとどまるところを知らない勢いだ。思わず癒されるモフモフ感、マイペースな姿やくるくる変わる表情……。CMや動画など、既に多くのアイドルが存在するが、最も注目したいスター猫の一人(匹?)が、この映画の主人公「ボブ」である。
本国イギリスではもはや大スターのボブ。彼を主人公にしたノンフィクション「ボブという名のストリート・キャット」が12年3月にイギリスで出版されると、ザ・サンデー・タイムズ紙のベストセラー・リストに76週間連続でランクインする記録を樹立。30を越える地域で出版され、販売部数は世界中で500万部、続編2冊を合わせると計1000万部を越える大ベストセラーとなっている。最近では、10代のための最高の読み物の一つとして、『ハリー・ポッター』や『ハンガー・ゲーム』といった名だたる作品とともに挙げられ、彼らの物語は、日本のテレビ番組でも「奇跡の猫ボブ 人生ドン底男ジェームズとのキズナ」として紹介され、大反響を呼んだ。
ストリート・ミュージシャンとして生計を立てていた、ホームレスのジェームズ。薬物依存で親にも見放され、生きる希望も持てずにいた彼の前に現れたのが一匹の茶トラの猫、ボブだった。出会った瞬間から不思議とジェームズに懐いたボブは、ジェームズに生きる希望とチャンスをもたらす。
拾った猫に救われて、捨て鉢の人生が一変。まさに「猫の恩返し」とでも言いたくなる衝撃のストーリーだが、驚くことに実話。
もっと奇跡的なことにボブ本人も劇中、ボブ役としてほとんどのシーンを撮影、愛らしい姿を披露しているのだ。